道尾秀介「背の眼」
「向日葵の咲かない夏」が期待以上に楽しめた(精神的なダメージも大きかったが...)ので、道尾秀介の他作品も読んでみることにした。もちろん、今後は期待値ハードルが上がっている。
道尾秀介「向日葵の咲かない夏」
タイトルとあらすじから、ほろ苦い青春物語を連想していたら、凄惨な話で驚いた。
冒頭から痛ましい事件がつづく。主人公と、その家族が置かれた状況は過酷だ。感情を抑えた筆致が悲惨さを際立たせ、それが、まだ幼い主人公の視点を通して語られているのだと思うと、胸がしめつけられる。
雫井脩介「犯人に告ぐ」
雫井脩介とは実家に帰省したときに買った「火の粉」以来の付き合い。それから「栄光一途」「虚貌」と、文庫化しているものを順に読んできたが相変わらずの高いリーダビリティを保っている。
警察側がテレビ番組を利用して犯人を追い詰める。
筋書きだけでワクワクする。想像するのは、エンターテインメント性たっぷりの二転三転する筋書きだ。しかし、中心はあくまで人間ドラマ。犯人に取り憑かれた警視の執念が、合間合間、隙間隙間に見え隠れする。
テレビが活躍する犯罪モノとしては天藤真「大誘拐」や都井邦彦「遊びの時間は終わらない」(北村薫編「謎のギャラリー―謎の部屋」収蔵)が個人的には傑作として思い浮かぶのだが、それらのエンターテインメント性を追い求めた作品とも一味違う。渋い。
物足りない感もあるにはある。余談だが、映画で主演の豊川悦司はイメージにぴったり……、というか文庫版の帯に載ってるから、どうじてもキャラクター像が固定されちゃうよね。
あと、余談ついでに、北村薫編「謎のギャラリー―謎の部屋」ではジェラルド・カーシュ「豚の島の女王」も傑作です。残酷で美しい逸品。Amazon で調べてみたら「豚の島の女王」は「壜の中の手記」に収録されてるのか。これは買うしか。
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クリストファー・プリースト「奇術師」
映画「プレステージ」の予習として原作を買っておいたら、積ん読にしているうちに映画の上映もおわってしまった。初プリースト。
ネタ自体はさほど驚きもしなかったのだけれど(これは日本の本格ミステリーとかでバカネタに慣れすぎたせいだと思う)、それでも引き込まれる。決して短い話ではないのだが、語りが抜群に巧い。物語の魅力か。
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人物の書き込み加減が絶妙